無資格サロンで働かないために —— 看護師が問われる責任と、求人の見分け方
アートメイクの求人には、医療機関ではない施設からのものが混ざっています。「看護師さん歓迎」と書かれていても、そこが医療機関でなければ、施術した看護師自身が責任を問われます。免許に関わる話なので、求人を見る前に読んでください。
無資格アートメイクと看護師の責任|要点
- アートメイクは医師法第17条にいう医行為です。医療機関として届出のある施設で、医師の指示のもとでしか行えません。
- 医師法違反の罰則は、3年以下の懲役または100万円以下の罰金(医師法第31条第1項第1号。併科もあります)。
- 看護師免許があっても免責されません。医師の指示なく医行為を行えば、保健師助産師看護師法上の問題になり得ます。
- 罰金以上の刑に処せられると、看護師免許の欠格事由に該当し得ます(保助看法第9条・第14条)。免許取消・業務停止・戒告の対象です。
- 求人が医療機関かどうかは、屋号ではなく「診療所として届出があるか」で判断してください。確認方法を後半に書きました。
アートメイクはなぜ施術する場所が問題になるのか
アートメイクは、針で皮膚に色素を注入する行為です。 出血を伴い、感染・アレルギー・瘢痕のリスクがあります。 そのため厚生労働省の解釈により、医師法第17条にいう「医行為」とされています。
医行為であることから、次の3つが同時に必要になります。
| 必要なもの | 内容 |
|---|---|
| ①資格 | 医師、または医師の指示を受けた看護師(准看護師を含む) |
| ②場所 | 医療機関として届出のある施設 |
| ③指示 | 医師の指示(看護師が施術する場合) |
看護師免許は「①」を満たすだけです。②と③が欠けていれば、免許を持っていても適法にはなりません。「看護師だから大丈夫」は成り立ちません。
※参考:厚生労働省「医師免許を有しない者によるいわゆるアートメイクの取扱いについて」(令和5年7月3日)/医師法(e-Gov法令検索) / 当サイトが根拠にしている資料は一次情報・関連機関リンク集にまとめています。
無資格アートメイクの罰則と看護師免許への影響
条文を挙げます。ここは正確に知っておいてください。
| 根拠 | 内容 |
|---|---|
| 医師法第17条 | 医師でなければ、医業をなしてはならない |
| 医師法第31条第1項第1号 | 3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはこれを併科 |
| 保助看法第37条 | 看護師は、主治の医師の指示があった場合を除き、衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない |
| 保助看法第9条・第14条 | 罰金以上の刑に処せられた者等は欠格事由に該当し得る。免許取消・3年以内の業務停止・戒告の対象 |
ここが最も重要です。看護師にとってのリスクは、罰金そのものより免許です。罰金以上の刑を受けた場合、看護師免許の欠格事由に該当し得ます。
アートメイクのために積み上げた技術だけでなく、看護師としてのキャリアそのものを失う可能性があるということです。 処分の可否と内容は個別に判断されますが、そのリスクを負う理由がある仕事かどうかを考えてください。
なお、無資格者によるアートメイク類似行為が医師法違反に問われた裁判例もあります (東京地方裁判所 平成2年3月9日判決)。取り締まりの対象になり得る領域です。
※参考:厚生労働省「医師免許を有しない者によるいわゆるアートメイクの取扱いについて」(令和5年7月3日)/医師法(e-Gov法令検索) / 当サイトが根拠にしている資料は一次情報・関連機関リンク集にまとめています。
アートメイクで「名義貸し」を求められたら
実務で起こりやすいのが、次のような依頼です。いずれも応じてはいけません。
- 「看護師として名前だけ貸してほしい。施術は別の人がやる」
- 「医師は名前だけで、実際には来ない」(指示を出せる体制がない)
- 「サロンだけど看護師がやるから問題ない」(場所の要件を満たしていない)
- 「独立してレンタルスペースでやればいい」(医療機関ではない)
「経営者がそう言っている」は、あなたを守りません。問われるのは施術した本人と、名義を貸した本人です。
断ったことで不利益な扱いを受けた場合は、労働局の相談窓口などに相談してください。違法行為を拒否したことを理由とする不利益取扱いは、争える余地があります。
アートメイクの求人が医療機関かを確かめる
「クリニック」「メディカル」と名乗っているかどうかでは判断できません。確認すべきは診療所としての届出があるかです。次の方法があります。
- 医療情報ネット(ナビイ)や都道府県・保健所の医療機関一覧で検索する——届出のある医療機関は掲載されています
- 院内の掲示を確認する——医療機関には管理者である医師の氏名等が掲示されているのが通例です
- 面接で直接聞く——「こちらは診療所として届出のある医療機関ですか」「管理者の先生はどなたですか」
- 指示体制を聞く——「施術中、指示を出す医師は院内にいますか」
次のような求人には、特に注意してください。
- 施設名に医療機関らしさがなく、住所が雑居ビルの一室やマンションである
- 医師の氏名がどこにも出てこない
- 「業務委託だから自由に働ける」と、場所の制約に触れない
- 資格の確認がない(免許の提示を求められない)
- 報酬が相場から大きく外れて高い
働き方そのものの整理はアートメイクで独立・開業できる?と看護師の副業でアートメイクはできる?にまとめています。どちらも「医療機関でしか施術できない」という同じ制約から出発しています。
アートメイクスクール選びの段階で見ておく
卒業後の出口が制度になっている校を選ぶことが、そのままリスク回避になります。提携先が医療機関として明示されているかを見てください。
- 日本アートメイクアカデミー大阪・南船場75/100就職・開業15/15 満点。就職斡旋の実績、修了生専用のフリーランス施設(心斎橋)、Instagramマーケティング講習まで詳しく見る→
- アートメイクスクール Cleo東京・神宮前(出張受講あり)74/100就職・開業14/15 業務委託100%保証、提携クリニック+人材紹介2社、LP制作などの集客サポートまである詳しく見る→
- AAS(AMGアートメイクスクール)銀座・横浜・梅田・芦屋・福岡天神82/100就職・開業12/15 フリーランス契約者に技術チェック・月1回相談会・集客支援。求人紹介の明示は弱い詳しく見る→
- メディカルブローアカデミー表参道・名古屋・大阪・福岡74/100就職・開業12/15 修了後に採用面接、業務委託契約(完全歩合)。開業支援はなし詳しく見る→
- ジュエリブロウアカデミー名古屋・栄64/100就職・開業12/15 提携クリニックとの業務委託契約を斡旋。SNS&マーケティング強化講座も別途用意詳しく見る→
- FIRST ARTMAKE アカデミー銀座・梅田・名古屋・福岡59/100就職・開業12/15 提携院への就職紹介とSアーティスト契約(フリーランス)の両方あり。SNS指導は別途30万円詳しく見る→
2026年8月14日時点の各校公式サイトの公開情報にもとづく当サイトの採点です。採点方法/全32校の比較表
なお2026年8月14日時点で、公式サイトに受講資格(医師・看護師)の指定がない校が6校、公式サイトを持たずSNSのみで募集している校が1校ありました。
これらの校が違法だという意味ではありません。医行為に当たらない施術を扱っている可能性もあります。 ただし「受講できること」と「施術できること」は別である以上、 当サイトは事実として表示しています(資格について)。
危ないと感じたときの相談先
判断に迷ったら、勤め先の中だけで解決しようとしないでください。
- 都道府県・保健所の医務主管課——その施設が医療機関か、体制が適法かの照会
- 看護協会の相談窓口——職能団体として相談を受け付けています
- 労働局・労働基準監督署——違法行為の拒否に伴う不利益取扱いなど
- 弁護士——契約内容や責任の所在について
当サイトは個別の法律判断を行いません。ここに書いたのは条文と一般的な考え方で、実際の可否や処分は個別の事情によって判断されます。具体的な事案は、必ず専門家と行政にご確認ください。
「海外ではサロンでやっている」は根拠になりません。制度が国ごとに違うためです。 比較は海外のアートメイクはどうなっている?をご覧ください。
根拠法令:医師法(昭和23年法律第201号)第17条・第31条第1項第1号/ 保健師助産師看護師法第9条・第14条・第37条/ 厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」(医政発第0726005号)。 裁判例:東京地方裁判所 平成2年3月9日判決。 本記事は一般的な情報提供であり、個別の法律相談に応じるものではありません。
よくある質問
- 看護師免許があれば、サロンでアートメイクをしてもいいですか?
- いけません。アートメイクは医師法第17条にいう医行為で、医療機関として届出のある施設でしか行えません。加えて医師の指示が必要です。看護師免許は「どこでも施術できる免許」ではありません。
- 無資格でアートメイクをするとどうなりますか?
- 医師法違反となり、3年以下の懲役または100万円以下の罰金(併科もあり)と定められています(医師法第31条第1項第1号)。無資格者によるアートメイク類似行為が医師法違反に問われた裁判例もあります。
- 看護師が違法な施設で施術した場合、免許はどうなりますか?
- 影響し得ます。保健師助産師看護師法は罰金以上の刑に処せられた者などを欠格事由として定めており(第9条)、該当する場合は免許取消・3年以内の業務停止・戒告の対象になります(第14条)。処分の可否と内容は個別に判断されます。
- アートメイクの求人先が医療機関かどうかは、どこで確認できますか?
- 都道府県・保健所が公表している医療機関の一覧や、医療情報ネット(ナビイ)で検索できます。また院内には管理者である医師の氏名が掲示されているのが通例です。「クリニック」と名乗っているかどうかでは判断できません。
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本記事は2026-08-17時点の公開情報にもとづきます。掲載内容の正確性・最新性を保証するものではありません。 受講・応募の判断は必ず各スクール・各医療機関の公式情報をご確認ください。 本サイトは技術の習得・就職・収入を保証するものではなく、成果には個人差があります。 アートメイクは医師法第17条にいう医行為であり、施術は医師または医師の指示を受けた看護師のみが行えます。 当サイトはアフィリエイト広告を利用しています(掲載基準)。