施術の知識公開 2026-08-15更新 2026-08-17医師監修

アートメイクのリスクと合併症 —— 施術する側になる前に知っておくこと

スクール選びの記事は「何が学べるか」ばかりを扱いますが、施術する側になるということは、これらのリスクに対応する側になるということです。医師の立場から、学ぶ前に知っておいてほしいことを書きます。

アートメイクのリスクと合併症|要点

  • アートメイクが医行為とされているのは、規制が厳しいからではなく、リスクがあるからです。針で皮膚に色素を入れる行為だからです。
  • 主なリスクは、感染・アレルギー・色素の変色・左右差・除去の困難さです。いずれも施術後に起こりうるもので、対応するのは施術者です。
  • アートメイクは簡単には消せません。レーザー照射により色素が変色する可能性が指摘されており、除去は容易ではありません。
  • MRI検査で違和感や熱感が生じたという報告があります。頻度は高くないとされますが、患者さんに聞かれる可能性があります。
  • 除去・修正まで教えている校は32校中8校だけでした。トラブルに向き合う技術は、ほとんど教えられていません。

アートメイクはなぜ医行為とされているのか

アートメイクが医師法第17条にいう医行為とされ、医師または医師の指示を受けた看護師しか 行えないのは、手続き上の都合ではありません。実際にリスクがあるからです。

やっていることは、針で皮膚に色素を注入する行為です。 出血を伴い、傷をつくり、異物を体内に残します。感染症の管理、アレルギーへの対応、合併症が起きたときの処置が必要になります。これらは医療機関でなければ担保できません。

施術する側になるということは、これらに対応する側になるということです。「技術を身につける」の中には、うまくいかなかったときにどうするかが含まれています。

※参考:厚生労働省「医師免許を有しない者によるいわゆるアートメイクの取扱いについて」(令和5年7月3日)医師法(e-Gov法令検索) / 当サイトが根拠にしている資料は一次情報・関連機関リンク集にまとめています。

アートメイクの主なリスクと合併症

リスク内容施術者として
感染針・器具・施術環境を介した感染。施術後の創部からの感染使い捨ての徹底、清潔操作、アフターケアの説明
アレルギー色素・麻酔薬に対する反応。遅発性に出ることもある問診、既往の確認、必要に応じたパッチテストの案内
色素の変色・残存時間経過で赤み・青みを帯びることがある。完全には抜けない色の選択、深さの管理、経過の説明
仕上がりの問題左右差、デザインの不一致、濃すぎ・薄すぎデザイン確認と同意、修正の可否をあらかじめ説明
瘢痕(はんこん)深く入れすぎた場合や体質によって瘢痕が残ることがある深さの管理。ケロイド体質の確認
除去の困難さ簡単には消せない。除去自体にもリスクがある「消せない前提」で説明し、同意を得る

ここに挙げたものは、起こる頻度が高いという意味ではありません。適切な手技と衛生管理のもとでは、多くは避けられるものです。

ただし施術者は「起きたときにどうするか」を持っていなければなりません。これが、医療機関で医師の指示のもとに行う理由です。

アートメイクは「消せない」という前提

受ける側が最も誤解しやすいのが、ここです。「時間が経てば消える」「気に入らなければ消せる」と考えている方が少なくありません。

実際には、アートメイクの色素は完全には抜けません。薄くはなりますが残ります。 除去にはレーザー照射が用いられることがありますが、色素の種類によっては照射により変色する可能性が指摘されています。 複数回の施術が必要になることもあり、元の状態に完全に戻せる保証はありません。

そのため実務上は、施術前の説明と同意が決定的に重要になります。 「消せます」と説明してはいけません。

色が変化する仕組みはアートメイクの色はなぜ変わる?、 タトゥーとの違いはこちらに分けてまとめました。

除去・修正を教えている校は8校だけ

2026年8月14日時点で32校を調べたところ、除去・修正まで教えている校は8校でした。入れる技術は32校近くが教えていますが、直す技術はほとんど教えられていません。

2026年8月14日時点の各校公式サイトの公開情報にもとづきます。技法の違い全32校の比較表

MRI撮影時はアートメイクを申告するよう伝えることが大切だと示した図
MRI撮影そのものが直ちに禁止されるわけではありませんが、撮影前に「アートメイクをしている」と申告するよう伝えてください。図:当サイト監修者の著書『アートメイクがわかる』シリーズより

アートメイクの施術を避けるべき場合

最終的な適応判断は、診察を行う医師が行います。そのうえで、一般に慎重な判断が必要とされるのは次のような場合です。

  • 妊娠中・授乳中(感染、麻酔薬の使用、体調変化の観点から)
  • ケロイド体質・肥厚性瘢痕の既往
  • 施術部位に皮膚疾患や炎症がある
  • 金属・色素・麻酔薬にアレルギーの既往がある
  • 糖尿病など創傷治癒に影響する基礎疾患がある
  • 抗凝固薬を服用している
  • 近くMRI検査の予定がある(施術歴の申告が必要)

これらは「絶対にできない」という意味ではありません。医師の診察のうえで判断されるものです。看護師が単独で適応を判断することはできません。問診で何をどう聞くかアートメイクができない人・注意が必要な人は?に 12項目でまとめました。この記事が「何が起こりうるか」、あちらが「誰に施術してよいかをどう確かめるか」です。ここが医師の指示が必要な理由でもあります。

アートメイクの施術者としての責任

技術以外に、実務として求められることを挙げます。スクールのカリキュラムに含まれているかどうかを確認する価値があります。

  1. 問診と既往歴の確認——アレルギー、基礎疾患、内服薬、妊娠の有無
  2. 説明と同意——リスク、消えないこと、色の変化、修正の可否を事前に伝える
  3. 衛生管理——器具の使い捨て、清潔操作、廃棄物の扱い
  4. 記録——使用した色素のロット、施術内容、経過
  5. アフターケアの指導——当日の注意、感染兆候が出たときの連絡先
  6. 異常時に医師へつなぐ判断——自分で抱え込まない

⑥がとくに重要です。看護師は医師の指示のもとで施術します。 何かあったときに医師へつなげる体制がある施設で働くこと自体が、リスク管理です。

リスク管理の観点でアートメイクスクールのどこを見るか

技法の数や価格より先に、次の3つを確認してください。

  • 衛生管理・皮膚の解剖・色彩理論が座学に含まれているか(技術だけを教える講座があります)
  • モニター実習が何件あるか(人の皮膚は人工皮膚と違います。反応も定着も違います)
  • 合併症が起きたときの対応を教えているか(説明会で直接聞いてください)

実習量が多いということは、肌質の違いや痛みの反応に触れる機会が多いということです。 ①学べること(25点満点)が高い校を挙げます。

2026年8月14日時点の各校公式サイトの公開情報にもとづく当サイトの採点です。採点方法/実習量の比べ方はこちら

本記事は一般的な情報提供であり、個別の診断・治療を目的とするものではありません。 施術の適応・可否の判断は診察を行う医師が行います。 症状がある場合は自己判断せず医療機関にご相談ください。 根拠法令:医師法(昭和23年法律第201号)第17条/保健師助産師看護師法第37条/ 厚生労働省「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」(医政発第0726005号)。

よくある質問

アートメイクにはどんなリスクがありますか?
主なものは感染、色素に対するアレルギー反応、色素の変色や残存、左右差などの仕上がりの問題、そして除去の困難さです。針で皮膚に色素を入れる行為である以上、これらのリスクをゼロにはできません。だからこそ医療機関でしか行えないとされています。
アートメイクは消せますか?
簡単には消せません。レーザーによる除去が行われることがありますが、色素の種類によっては照射で変色する可能性が指摘されています。複数回の施術が必要になることもあり、元の状態に完全に戻せる保証はありません
アートメイクをするとMRI検査は受けられませんか?
受けられないわけではありません。ただしMRI検査中に違和感や熱感が生じたという報告があります。頻度は高くないとされますが、検査前に施術歴を申告するよう案内するのが安全です。
妊娠中でもアートメイクはできますか?
一般に推奨されません。妊娠中・授乳中は、感染や麻酔薬の使用、体調変化の観点から避けるべきとされるのが通例です。施術可否の最終判断は診察を行う医師が行います。

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本記事は2026-08-17時点の公開情報にもとづきます。掲載内容の正確性・最新性を保証するものではありません。 受講・応募の判断は必ず各スクール・各医療機関の公式情報をご確認ください。 本サイトは技術の習得・就職・収入を保証するものではなく、成果には個人差があります。 アートメイクは医師法第17条にいう医行為であり、施術は医師または医師の指示を受けた看護師のみが行えます。 当サイトはアフィリエイト広告を利用しています(掲載基準)。

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