施術の知識公開 2026-08-16更新 2026-08-17医師監修

アートメイクの色はなぜ変わる? 赤み・青みが出る理由と、施術前に伝えること

「入れたときは自然だったのに、数年経って赤くなった」——アートメイクでよくある相談です。これは施術者の技術だけの問題ではなく、色素と皮膚の性質から起こります。仕組みを知らないと、施術前に正しく説明できません。

アートメイクの色が変わる理由|要点

  • 色の変化は「退色の仕方」から起きます。色素は均一に薄くなるのではなく、成分によって抜け方が違います。
  • 赤みや青みが出るのは、残りやすい成分が相対的に目立つためと説明されます。時間の経過とともに起こり得る変化です。
  • 入れる深さでも変わります。深く入るほど残りやすく、青みがかって見えることがあります。
  • 紫外線・肌質・ターンオーバーの速さでも変わります。同じ施術をしても同じ経過にはなりません。
  • だから施術前に「色は変化することがあります」と伝える必要があります。後から説明しても遅すぎます。

アートメイクの色素は均一に抜けない

まず前提として、アートメイクの色素は完全には抜けません。表皮に近い浅い層に入れるため、ターンオーバーの影響で少しずつ減りますが、ゼロにはなりませんタトゥーとの違い)。

問題は減り方です。色素は単一の物質ではなく、複数の成分を混ぜて色を作っています。そして成分ごとに抜けやすさが違います。

抜けやすい成分が先に減ると、残りやすい成分の色が相対的に目立つようになります。 これが「赤みが出る」「青みが出る」と表現される現象です。色が新しく足されたのではなく、バランスが崩れた結果です。

この変化は時間の経過とともに起こり得るもので、施術直後には分かりません。数年後に初めて表面化するという点が、説明を難しくしています。

マクロファージがインクを貪食・分解するしくみの図
体外から入ったものに反応するマクロファージが色素を取り込み、分解します。これも色が薄くなる理由のひとつです。図:当サイト監修者の著書『アートメイクがわかる』シリーズより

色素を入れる深さがアートメイクの色に影響する

色の見え方には、入れた深さも関係します。

入れる深さ起こりやすいこと
浅すぎる定着せず、早期に薄くなる。retouch が必要になりやすい
適切一定期間定着し、徐々に薄くなる
深すぎる残りやすく、青みがかって見えることがある。瘢痕のリスクも上がる

深さは施術者の手技で決まります。だからこそ、実習量が問題になります。

人工皮膚と人の皮膚では、針の入り方が違います。厚み、弾力、部位による差、年齢による差——これらは実際の人に施術しないと分かりません。「添削◯回」と「モニター◯名」を分けて確認すべきなのは、このためです (モニター実習は何件できる?)。

アートメイクの定着はターンオーバー周期・施術者の技術力・インクと肌の相性で決まることを示した図
色の定着は「ターンオーバー周期」「施術者の技術力」「インクと肌の相性」の3つが重なるところで決まります。図:当サイト監修者の著書『アートメイクがわかる』シリーズより

アートメイクの色に個人差を生む要因

同じ色素で、同じ深さに入れても、経過は人によって違います。

  • ターンオーバーの速さ——年齢や体調で変わります
  • 肌質・皮膚の厚み——部位によっても違います
  • 紫外線——退色を早める要因とされます
  • スキンケア——ピーリングやレチノールなどの使用
  • 体質・基礎疾患——創傷治癒に影響するもの

「◯年もちます」と断定できないのは、この要因の多さからです。施術前の説明では必ず「個人差があります」を添えてください。

三原色をすべて混ぜると茶から黒に近づくことを示した図
色の三原色はすべて混ぜると茶〜黒に近づきます。色が濁って見える現象の背景にはこの性質があります。図:当サイト監修者の著書『アートメイクがわかる』シリーズより

アートメイクの施術前に伝えること

色の変化は「起きたら説明する」ものではありません。「起きる前に説明する」ものです。最低限、次の4点を伝えてください。

  1. 完全には消えません。薄くはなりますが、色素は残ります
  2. 色は変化することがあります。赤みや青みを帯びる場合があります
  3. どれくらいもつかは個人差があります。年数を断定できません
  4. 修正が必要になった場合、誰がどう対応するかを先に決めておきます

②を省略しないでください。「そのうち自然に消える」と受け取られたまま数年経つと、変色したときに「聞いていない」という話になります。

同意を得た記録(説明内容・使用した色素のロット・施術内容)を残すことも、 施術者自身を守ります(リスクと合併症)。

無機インクと有機インクの由来・浸透・粒子・色数を比較した表
無機インクと有機インクは、由来も粒子の大きさも違います。使ったインクの記録が、後の修正・除去で効いてきます。図:当サイト監修者の著書『アートメイクがわかる』シリーズより

アートメイクが変色した場合の対応

実際に色が変わってしまった場合、取り得る選択肢は限られます。

  • 上から重ねて補正する——色を足してバランスを取る。ただし色素は増えます
  • レーザー等で除去する——色素によっては照射で変色する可能性が指摘されています
  • 薄くなるのを待つ——完全には消えません

いずれも「元に戻す」ではありません。だからこそ施術前の説明が決定的に重要になります。

そして除去・修正を教えているスクールは32校中8校だけでした (2026年8月14日時点)。直す技術は、業界全体でほとんど教えられていません。

2026年8月14日時点の各校公式サイトの公開情報にもとづきます。全32校の比較表

色素についてアートメイクスクールで確認しておく

色を扱う以上、技術だけでなく理論が要ります。説明会で次を聞いてください。

  1. 色彩理論は座学に含まれますか?(色の選び方、肌色との関係)
  2. 皮膚の解剖・組織学は扱いますか?(どの層に入れるかの理解)
  3. 退色と変色について教えますか?(経過をどう説明するか)
  4. 使用する色素の種類と特性を教えますか?
  5. 合併症が起きたときの対応を教えますか?

「技術だけ」を教える講座があります。手技は覚えられても、なぜその色を選ぶのか、なぜその深さなのかを説明できなければ、施術前の同意は取れません。

座学の内容を公開している校を、①学べることのスコア順に挙げます。

2026年8月14日時点の各校公式サイトの公開情報にもとづく当サイトの採点です。色彩理論・皮膚理論が含まれるかは公式サイトからは読み取れません。必ず各校へご確認ください。採点方法

色素そのものに規制があるかは、別の話です。EUは2022年から成分を制限しており、マイクロブレーディングも明示的に対象です。 日本の扱いとあわせて色素に規制はあるのかにまとめました。

本記事は一般的な情報提供であり、個別の診断・治療を目的とするものではありません。 色の変化・持続期間・除去の可否には個人差があり、結果を保証するものではありません。 症状がある場合は自己判断せず医療機関にご相談ください。適応の判断は診察を行う医師が行います。 アートメイクは医師法第17条にいう医行為で、医療機関として届出のある施設でしか行えません。

よくある質問

アートメイクの色が赤くなるのはなぜですか?
色素が均一に退色しないためと説明されます。色素は複数の成分で色を作っており、抜けやすい成分が先に減ると、残りやすい成分の色が相対的に目立つようになります。その結果として赤みや青みを帯びて見えることがあります。時間の経過とともに起こり得る変化です。
アートメイクの色が変わらないようにできますか?
完全に防ぐことはできません。退色そのものは皮膚のターンオーバーによる自然な過程で、色素の種類・入れた深さ・紫外線・肌質などの影響を受けます。「変わりません」という説明はしないでください。
変色したアートメイクは消せますか?
簡単には消せません。レーザーによる除去が行われることがありますが、色素の種類によっては照射により変色する可能性が指摘されています。複数回必要になることもあり、元の状態に完全に戻せる保証はありません。
アートメイクの施術前に患者さんへ何を説明すればいいですか?
①完全には消えないこと ②色は変化することがあること ③どれくらいもつかは個人差があること ④修正が必要になった場合の対応の4点です。とくに②を省略すると、数年後に必ず問題になります。

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本記事は2026-08-17時点の公開情報にもとづきます。掲載内容の正確性・最新性を保証するものではありません。 受講・応募の判断は必ず各スクール・各医療機関の公式情報をご確認ください。 本サイトは技術の習得・就職・収入を保証するものではなく、成果には個人差があります。 アートメイクは医師法第17条にいう医行為であり、施術は医師または医師の指示を受けた看護師のみが行えます。 当サイトはアフィリエイト広告を利用しています(掲載基準)。

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