アートメイクの色素に規制はあるのか? EUは成分を制限し、日本は承認制度が確認できません
どの色素を使うかは、仕上がりの話であると同時に安全性の話です。ところが「何を使ってよいか」の決め方は国によって違います。EUと日本の差が、いちばん分かりやすい例です。
アートメイクの色素の規制|要点
- EUは2022年1月4日から、色素に含まれる有害物質を制限しています。REACH規則の附属書XVII・Entry 75です。
- 対象に「permanent make-up」「micro-blading」が明示されています。タトゥーだけの話ではありません。
- 禁止ではなく、成分と表示の規制です。用途・全成分・安全上の注意をラベルに書くことも求められます。
- Pigment Blue 15:3 と Pigment Green 7 は1年遅れの2023年1月4日から。代替が乏しかったためです。
- 日本では、自由診療で使う材料が承認されていない場合があると厚生労働省が示しています。
- 当サイトが調べた範囲では、アートメイク用色素の製品承認制度は確認できませんでした。「ない」と断定はしません。
- 使用色素をカリキュラムで扱うと明記している校はあります。32校を調べた結果は本文にまとめました。
アートメイクの色素の規制はEUと日本で違う
先に全体像を出します。「誰が施術できるか」が国によって違うのと同じく、「何を使ってよいか」の決め方も違います(海外のアートメイク事情)。
| EU | 日本 | |
|---|---|---|
| 色素そのものの規制 | あり。成分と濃度の上限を法令で定める | 当サイトが調べた範囲では製品承認の制度は確認できず |
| 根拠 | REACH規則 附属書XVII Entry 75 | —— |
| ラベル表示 | 義務。用途・全成分・安全上の注意 | —— |
| 施術する人 | 州・国により医療資格は不要な場合がある | 医師、または医師の指示を受けた看護師のみ |
この表は「日本が遅れている」という意味ではありません。規制の置き場所が違うだけです。 EUは製品(色素)を規制し、日本は行為(誰がどこで施術するか)を規制しています。
ただし施術する側から見ると、日本では色素の中身を自分で確認する必要があるということになります。 ここが実務上の違いです。
EUはアートメイクの色素の成分を制限している
EUの規制は、色素に「何が入っていてはいけないか」を定めたものです。経緯を並べます。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2020年12月14日 | 欧州委員会規則 (EU) 2020/2081 が採択。REACH規則の附属書XVIIにEntry 75 を追加 |
| 2022年1月4日 | EU/EEAで適用開始。発がん性・変異原性・生殖毒性のある物質、皮膚感作性・刺激性の物質などを濃度上限つきで制限 |
| 2023年1月4日 | Pigment Blue 15:3 と Pigment Green 7 に適用開始。安全な代替が乏しいとして24か月の猶予が置かれていた |
アートメイクに関わる方が押さえるべき点は3つです。
- アートメイクが明示的に対象です。規則は「for tattooing purposes」の定義にpermanent make-up・cosmetic tattooing・micro-blading・micro-pigmentation を含めています。タトゥーだけの規制ではありません
- 禁止ではありません。欧州化学機関(ECHA)は「タトゥーを禁止することが目的ではなく、使われる色をより安全にすること」が目的だと説明しています
- 表示の義務があります。その混合物がタトゥー・アートメイク用であること、全成分、安全上の注意をラベルに記載する必要があります
Pigment Blue 15:3 と Pigment Green 7 だけ1年遅れたのには理由があります。安全な代替が乏しかったためで、24か月の移行期間が置かれました。 青と緑は混色の基本になる色です。ここが使えなくなると、 多くの色が作れなくなるという事情がありました。
色素の入れ替えは、仕上がりと退色の出方に影響します。規制は安全性の話ですが、結果として色の設計にも波及するということです (色はなぜ変わる?)。
日本のアートメイクの色素はどう扱われているか
日本では、行為のほうが厳しく規制されています。アートメイクは医師法第17条にいう医行為で、 施術できるのは医師と医師の指示を受けた看護師、 場所は医療機関として届出のある施設のみです (無資格サロンで働かないために)。
一方、使う材料については次のように示されています。
美容目的の自由診療で用いる薬や材料、機器などは、法律(医薬品医療機器等法)で承認などがされていない場合があります。
厚生労働省の「その美容医療、ちょっと待って!」に記載されているものです。 同サイトは「自分でも説明できるようになるまで、医師の説明をしっかりと聞いて理解しましょう」とも呼びかけています。
当サイトが調べた範囲では、アートメイク用色素についての製品承認制度は確認できませんでした。存在しないと断定するものではありません。ただ、使う側が中身を確認する必要があることは変わりません。
ここが看護師にとって実務的に効きます。「クリニックが用意したものだから大丈夫」ではなく、何を使っているかを自分が言えるかが問われます。 施術するのはあなただからです。
アートメイクの色素について施術者が確認すること
4つです。そして記録に残してください。
| 確認すること | なぜ必要か |
|---|---|
| 製造元・製品名 | 問題が起きたときの問い合わせ先になります |
| 全成分 | アレルギーの既往と照らせます(問診で確認する12項目) |
| ロット番号 | 同じ製品でも製造単位で違います。不具合の追跡はここが起点です |
| 入手経路 | 誰がどう仕入れたものかを把握します |
記録に残していないと、あとから何もできません。色素による反応は遅れて出ることがあります。 数か月後に「あのとき何を入れたか」と聞かれて答えられなければ、 対応も説明もできません。診療録の保存は医師法第24条で5年と定められています (同意書とカルテには何を残す?)。
なお色素は医療機関が管理するものです。練習用としてスクールのキットに含まれることはありますが、施術で使うものを個人で買って持ち込むという考え方はしません(道具は何を使う?)。
アートメイクスクールで色素をどこまで学べるか
2026年8月14日時点で32校の公式サイトを確認したところ、 色素を扱う記載には幅がありました。
- 「色素学」を独立した項目に立てている校があります
- 部位ごとに別建てにしている校もあります(リップ専用の色素学など)
- 「色彩理論」の1日クラスを設けている校もあります
- 使用色素の製品名まで公開している校は多くありません
ただし、どの校も「規制」までは書いていませんでした。色の作り方は教えても、その色素が何で、どういう枠組みで流通しているかは カリキュラムに出てきません。
説明会で聞くなら、この3つです。
- 実習で使う色素の製造元と製品名を教えてください
- 全成分とロット番号は確認できますか
- 卒業後、同じ色素をどこから入手しますか
③は見落とされがちです。スクールの専用品だと、そこからしか買えないことがあります。 就職先が別の色素を使っていれば、色の出方の感覚を作り直すことになります。
色の変化そのものは色はなぜ変わる?、 国ごとの制度の違いは海外のアートメイク事情、 説明会で聞く項目は説明会で確認する48項目にまとめています。
※参考(いずれも2026年8月22日閲覧):Commission Regulation (EU) 2020/2081 of 14 December 2020(EUR-Lex)/ECHA「Tattoo inks and permanent make-up」/厚生労働省「その美容医療、ちょっと待って!」/厚生労働省「医師免許を有しない者によるいわゆるアートメイクの取扱いについて」(令和5年7月3日) / 当サイトが根拠にしている資料は一次情報・関連機関リンク集にまとめています。
よくある質問
- アートメイクの色素に規制はありますか?
- 国によって違います。EUでは2022年1月4日から、REACH規則の附属書XVII・Entry 75により、色素に含まれる発がん性・変異原性・生殖毒性のある物質や皮膚感作性・刺激性の物質が濃度上限つきで制限されています。対象にpermanent make-upとmicro-bladingが明示されています。日本については本文で整理しました。
- EUの規制はアートメイクを禁止したのですか?
- 禁止ではありません。欧州化学機関(ECHA)は「タトゥーを禁止することが目的ではなく、使われる色をより安全にすることが目的」と説明しています。成分の制限と表示の義務(用途・全成分・安全上の注意をラベルに記載)が中心です。
- Pigment Blue 15:3 と Pigment Green 7 はなぜ後回しになったのですか?
- 安全な代替が乏しかったためです。この2つには24か月の移行期間が置かれ、2023年1月4日から適用されました。青と緑という、混色で使われる基本的な色だったことが背景にあります。
- 日本のアートメイクの色素は承認されていますか?
- 厚生労働省は「美容目的の自由診療で用いる薬や材料、機器などは、法律(医薬品医療機器等法)で承認などがされていない場合があります」と示しています。当サイトが調べた範囲では、アートメイク用色素についての製品承認制度は確認できませんでした。存在しないと断定するものではありませんが、使う側が中身を確認する必要があることは変わりません。
- 施術者は色素について何を確認すればよいですか?
- 製造元・全成分・ロット番号・輸入経路の4つです。加えて記録に残すことが要ります。アレルギーや遅発性の反応が出たとき、何を入れたか分からなければ対応できません(同意書とカルテの記事)。色素の管理は医療機関が行うもので、個人で買って持ち込むものではありません。
32校を同じ基準で採点しています
学べること・費用・実績・アフターフォロー・就職開業の5軸で100点満点。 受講料は「その金額で学べる範囲」と「全部位そろえた総額」を分けて掲載しています。
比較表で32校を見る条件で絞り込めます・登録不要
本記事は2026-08-22時点の公開情報にもとづきます。掲載内容の正確性・最新性を保証するものではありません。 受講・応募の判断は必ず各スクール・各医療機関の公式情報をご確認ください。 本サイトは技術の習得・就職・収入を保証するものではなく、成果には個人差があります。 アートメイクは医師法第17条にいう医行為であり、施術は医師または医師の指示を受けた看護師のみが行えます。 当サイトはアフィリエイト広告を利用しています(掲載基準)。