アートメイクができない人・注意が必要な人は? 施術する側が問診で確認する12項目
「この人に施術してよいのか」は、施術を始めてから最も迷うところです。判断そのものは医師が行いますが、材料を集めるのは問診をする人の役目です。何をどう聞くかをまとめました。
アートメイクができない人・問診で確認すること|要点
- 適応の判断は医師が行います。看護師が単独で「できる/できない」を決めることはできません。
- ほとんどの項目は「絶対にできない」ではありません。医師が診察したうえで判断するものです。
- 看護師の役割は、判断に必要な情報を漏らさず集めることです。だから聞き方が重要になります。
- MRIは「受けられない」わけではありません。検査を避けるリスクのほうが大きいとされています。申告が必要です。
- 薬は名前で聞いても答えられないことがあります。「血をさらさらにする薬」のような言い換えが要ります。
- カリキュラムに「禁忌」を明記しているのは32校中3校でした。衛生・感染管理は15校が書いています。
- 聞いた内容は記録に残します。診療録の保存は医師法で5年と定められています。
アートメイクができない人を看護師が判断することはできない
まず前提です。アートメイクは医師法第17条にいう医行為です。 施術できるのは医師、または医師の指示を受けた看護師に限られ、医療機関として届出のある施設でしか行えません(無資格サロンで働かないために)。
ここから導かれることが1つあります。「この人に施術してよいか」を看護師が単独で決めることはできません。適応の判断は診察した医師が行います。
では看護師の役割は何か。判断に必要な情報を、漏らさず集めることです。医師が診察するとき、患者さんが言っていないことは判断材料になりません。 問診で拾えなかった情報は、そこで消えます。
だから「何を聞くか」より「どう聞くか」のほうが効きます。患者さんは自分の状態を医学用語で覚えていないからです。
そして、ほとんどの項目は「絶対にできない」ではありません。「慎重な判断が必要」というだけで、医師が診察したうえで実施できる場合があります。 問診の段階で看護師が「できません」と答えてしまうのは、越権であると同時に不正確です。
アートメイクの問診で確認する12項目
「なぜ聞くのか」と「どう聞くか」をセットで並べました。理由が分かっていないと、患者さんが曖昧に答えたときに追えません。
| 確認する項目 | なぜ確認するか | どう聞くか |
|---|---|---|
| 1. 妊娠中・授乳中 | 感染したときに使える薬が限られます。麻酔薬の使用、体調の変化も考慮が必要です | 妊娠の可能性を含めて確認します。「予定はありますか」まで聞きます |
| 2. ケロイド体質・肥厚性瘢痕の既往 | 針で細かい傷をつける施術です。傷あとが盛り上がりやすい体質かどうかが関わります | ピアス・手術あと・けがのあとがどう治ったかを具体的に聞きます |
| 3. 施術部位の皮膚疾患・炎症 | 炎症のある皮膚に色素を入れると、悪化させることがあります | 見て確認します。当日だけの湿疹・にきび・日焼けも含みます |
| 4. 単純ヘルペスの既往 | 口唇の施術で再活性化することが知られています(リップの記事) | 「口のまわりに水ぶくれができたことがあるか」と聞きます。本人が病名で覚えていないことがあります |
| 5. 金属・色素・麻酔薬のアレルギー | 色素にも麻酔薬にもアレルギーの可能性があります | 化粧品・毛染め・金属・歯科麻酔での経験を聞きます |
| 6. アトピー性皮膚炎 | 皮膚の状態によって、色の入り方と経過が変わることがあります | 現在の状態と、施術部位に症状があるかを確認します |
| 7. 糖尿病など創傷治癒に影響する基礎疾患 | 傷の治りと感染のリスクに関わります | 治療中かどうか、コントロールの状況を聞きます |
| 8. 抗凝固薬・抗血小板薬の服用 | 出血しやすくなります。色の入り方にも影響します | 薬の名前で聞かず「血をさらさらにする薬」と言い換えて確認します |
| 9. 免疫を抑える治療を受けている | 感染のリスクに関わります | 治療中の病気と、服用中の薬をまとめて聞きます |
| 10. 施術部位の直近の施術歴 | レーザー・ピーリング・他院のアートメイクは、皮膚の状態と色の入り方に影響します | 「いつ」「どこで」「何を」を聞きます。他院のアートメイクは写真も残します |
| 11. MRI検査の予定 | 検査時に施術部位の熱感や腫れが報告されています(下で詳しく書きます) | 予定を確認し、検査時に申告するよう伝えます |
| 12. 未成年・当日の体調 | 同意の取り方が変わります。体調不良時は延期が基本です | 年齢と、当日の睡眠・飲酒・体調を確認します |
この表の要は右の列です。3つだけ補足します。
- 薬は名前で聞かない。「抗凝固薬を飲んでいますか」と聞くと、 飲んでいる人でも「いいえ」と答えます。名前を覚えていないからです。「血をさらさらにする薬」と言い換えます
- 病名で聞かない。ヘルペスも同じです。「口のまわりに水ぶくれができたことはありますか」と、症状で聞きます
- 他院の施術歴は写真も残す。言葉だけでは、あとから「元からあった」のか「今回入れた」のかが分からなくなります
効果や経過には個人差があります。自由診療のため保険適用外です。
アートメイクをするとMRIは受けられないのか
ここは誤解が多いところです。結論から書くと、受けられないわけではありません。
米国FDA(食品医薬品局)は、タトゥーやアートメイクについて次のように説明しています。
- MRI検査中に施術部位の腫れや熱感が生じたという報告がある。ただしまれで、持続的な影響はないとみられる
- 色素が画質に影響したという報告もある。これは主にアイラインのある人が目のMRIを受ける場合に起こる
- 医師が必要としたMRIを避けることのリスクのほうが、これらの合併症のリスクより大きいと考えられる

3つ目が肝心です。「アートメイクをしたからMRIを受けられない」ではなく、「受けるときに申告する」が正しい行動です。
施術する側として伝えるべきことは2つあります。
- 今後MRIを受けるときは、アートメイクをしていると伝えてくださいと説明する
- どこに何を入れたかを記録に残す。とくにアイラインは、目のMRIで画質に関わります
判断するのは検査を行う施設です。施術する側が「大丈夫です」と保証することはできません。
アートメイクの禁忌を教えると明記しているスクールは3校
2026年8月14日時点で、公式サイトのカリキュラムに「禁忌」と明記していたのは32校中3校でした。 「問診」を項目として挙げていたのは1校です。 一方で衛生・感染管理については15校が記載していました。
この数字を「3校しか教えていない」と読まないでください。当サイトは公式サイトに書かれていることだけで数えています。座学で扱っていても、サイトに書いていないだけの可能性が高いと考えています。
それでも数字に意味があるのは、比較の材料になるからです。技術の説明は各校とも詳しく書きますが、「誰に施術してはいけないか」を前面に出す校は少ないという傾向は読み取れます。説明会で直接確認してください。聞き方は次のとおりです。
- 禁忌と問診は座学の何時間目に入りますか
- 問診票のひな形はもらえますか
- 判断に迷ったとき、卒業後に相談できますか
3つ目が実務では効きます。迷う場面は卒業してから来ます。そのときに聞ける先があるかどうかです (上達する人と伸び悩む人の違い)。
アートメイクの問診で聞いたことをどう残すか
聞いただけでは足りません。記録に残して初めて、判断の根拠になります。
- 診療録(カルテ)の保存は5年と医師法第24条に定められています
- 同意書は「説明した」ことの記録です。署名をもらう前に何を説明したかが本体です
- 施術前の写真は、他院の施術歴があるときに特に重要です
記録は将来あなた自身を守ります。何を残すかは同意書とカルテには何を残す?にまとめました。
アートメイクの禁忌についてスクールで確認しておくこと
スクールを選ぶ段階で、この4つを聞いてください。
- 禁忌と問診を座学で扱うか。時間数まで聞きます
- 問診票・同意書のひな形をもらえるか。ゼロから作るのは大変です
- 迷ったときの相談先が卒業後もあるか
- 医師がどう関わる体制か。適応の判断は医師が行うので、そこが動く形になっているかです
④が本質です。「医師の指示のもとで」が形だけになっている職場では、看護師が実質的に判断させられることになります。 それはあなたの免許のリスクです(看護師が問われる責任)。
問診が医学的な確認なのに対し、デザインと期待のすり合わせは別の作業です。 そちらはカウンセリングでは何を聞くのかにまとめました。
リスクと合併症そのものはリスクと合併症の記事、 施術後の経過はダウンタイムの記事、 麻酔の扱いは麻酔は誰が判断するか、 校の絞り込みはおすすめの整理をご覧ください。
※参考:U.S. FDA「Tattoos & Permanent Makeup: Fact Sheet」(MRIに関する記載。2026年8月21日閲覧) / 厚生労働省「医師免許を有しない者によるいわゆるアートメイクの取扱いについて」(令和5年7月3日) / 厚生労働省「美容医療を受ける前に」 / 当サイトが根拠にしている資料は一次情報・関連機関リンク集にまとめています。
よくある質問
- アートメイクができない人はどんな人ですか?
- 「絶対にできない人」を一律に決めることはできません。妊娠中・授乳中、ケロイド体質、施術部位の皮膚疾患、金属や麻酔薬のアレルギー、糖尿病などの基礎疾患、抗凝固薬の服用などが慎重な判断を要する項目とされますが、最終的な適応は診察した医師が判断します。看護師が単独で決めることはできません(医行為としての位置づけ)。
- 妊娠中にアートメイクはできますか?
- 一般に慎重な判断が必要とされる場合にあたります。理由は、感染したときに使える薬が限られること、麻酔薬を使うこと、体調が変わりやすいことです。可否は診察した医師が判断します。問診では妊娠の可能性と今後の予定まで確認します。
- アートメイクをするとMRI検査は受けられませんか?
- 受けられないわけではありません。米国FDAは、アートメイクやタトゥーのある部位にMRI検査中の腫れや熱感が報告されているものの、まれで持続的な影響はないとみられるとしています。また画質への影響はアイラインのある人が目のMRIを受ける場合に主に起こるとされます。そのうえで医師が必要としたMRIを避けるリスクのほうが大きいと述べています。検査を受けるときに施術歴を申告してください。
- アートメイクの問診では何を聞けばよいですか?
- この記事の12項目が基本です。ポイントは聞き方で、薬は名前ではなく「血をさらさらにする薬」のように言い換える、ヘルペスは病名ではなく「口のまわりに水ぶくれができたことがあるか」と聞く、といった工夫が要ります。患者さんは自分の状態を医学用語で覚えていません。
- アートメイクスクールでは禁忌を教えてくれますか?
- 公式サイトのカリキュラムに「禁忌」と明記していたのは32校中3校でした(2026年8月14日時点)。ただし書いていない=教えていない、ではありません。座学で扱っていても公開していないだけの可能性があります。説明会で直接確認してください。
32校を同じ基準で採点しています
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本記事は2026-08-21時点の公開情報にもとづきます。掲載内容の正確性・最新性を保証するものではありません。 受講・応募の判断は必ず各スクール・各医療機関の公式情報をご確認ください。 本サイトは技術の習得・就職・収入を保証するものではなく、成果には個人差があります。 アートメイクは医師法第17条にいう医行為であり、施術は医師または医師の指示を受けた看護師のみが行えます。 当サイトはアフィリエイト広告を利用しています(掲載基準)。